毎日出勤しているオフィスワーカーでも中々気付かないことですが、大規模なオフィスには必ず「配線ダクト」と呼ばれる電気配線専用のダクトスペースが存在します。
オフィスにはないと言う方もいるかも知れませんが、廊下やトイレの周辺、または他の配管ダクトなどの近くにあることが多く、いわゆるバックヤードにあることがほとんどです。この配線ダクトは、電気系統の主要ルートであることから、建物の中でも特に重要なインフラとなっています。配線ダクトは、各階のフロアにおいて一箇所に集約して設置されるのがスタンダードです。
これは電気配線を一箇所にコンパクトにまとめることで、他の平面スペースを事務室や会議室に充てられるようにしたり、建物管理者に向け、日常の点検作業を容易にする効果があります。電気系統に不具合があった時に、対処しやすいというメリットもあるようです。さらに鋼製の扉で区画されており、電気配線を露出させないことから、配線の劣化や物理的な損傷を防ぐ役割もあります。
この配線ダクトダクトは、電気配線の効率化から各階同一の位置に設けられます。これは維持管理のしやすさがある一方で、火災などの有事に向けては不利な形状となります。上下階方向で貫くような構成となっているため、火災時の延焼を広げてしまうリスクがあるためです。そのため火災対策に向けて、自己消火機能のある配線材料を選定したり、ダクトまわりの耐火性能をあげる必要性がでてきます。